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要旨
森鴎外氏は明治時代の小説家、翻訳家、評論家であり、また日本の近代浪漫主義文学の先駆者でもある。夏目漱石氏と並ぶ文豪と称される。彼の創作活動と文芸思想は近世の日本文学に深遠な影響をもたらしていたのである。
「舞姫」という小説は森鴎外氏の処女作で、明治23年(1890)に「国民之友」発表されたのである。明治時代初期の日本において、ヨーロッパの近代的文明は大量につたわってきたが、本質的にはやはり封建思想や封建秩序が社会を支配しているのである。森鴎外氏はこういった時代を背景に、自我意識を持ち始めた青年官吏豊太郎と貧乏な舞姫エリスの悲恋を描いたのである。豊太郎がエリスを深く愛しているが、心に故郷に帰り、名誉を取り戻すという思いを持っている。それで、友人のはからいで、日本に戻るという決心をしたのである。エリスはそのことを告げられ、衝撃で気が狂ったのに、こんなエリスを見捨て、豊太郎は帰国したのである。
本論文は「舞姫」をめぐって、明治初期の社会の姿、作者の思想の両面性と身分の複雑性、主人公豊太郎の解放意識の局限性、主人公の愛情観およびエリスの角度などの面から二人の悲恋を分析していきたいと思われる。
キーワード:森鴎外;舞姫;豊太郎;エリス;悲恋
目次
要旨
中文摘要
1. はじめに1
2. 森鴎外と『舞姫』1
2.1森鴎外の生涯
2.2『舞姬』の紹介
2.2.1『舞姬』の粗筋
2.2.2『舞姬』の文学史における地位
3.『舞姬』の悲恋の原因分析.2
3.1明治時代初期の封建秩序
3.2著者思想の両面性と身分の複雑性
3.2.1思想の両面性
3.2.2身分の複雑性
3.3豊太郎の解放意識の不徹底性
3.4豊太郎の愛情観
3.5エリスの愛情への盲目
3.5.1 生活の面
3.5.2 感情の面
4.結論.6
参考文献.7
謝辞