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要旨:近代日本作家の中で、谷崎潤一郎という耽美派作家の美学意識はまさに独自に一派を打ち建てると言える。彼の作品で悪魔のように女性への狂おしいほどの憧れが書かれてある。世の習わしと真逆、しかも、倫理を超えている。
本稿は三章に分けられている。第一章では、作家の谷崎潤一郎の生涯及び創作風格を述べた上に、『春琴抄』の時代背景と主なあらすじを紹介した。第二章では、『春琴抄』の男女主人イメージ、性格と身元背景を分析し、二人の愛情の可能性を検討してみた。第三章では、筆者は谷崎潤一郎の代表的な小説の『春琴抄』を切り口として、著者の立ちおい及び時代背景と結合して、主な審美感を以下の三つにまとめた。一つ目は病的な美しさである。すなわち、不完全な欠陥と永遠を基準に、一般人と違う生涯を審美的な境界に置くことによって、器官的な欠陥を心世界で昇華させるということである。二つ目は女性崇拝である。すなわち、男性が永遠に女性に降伏されるというような神聖感を宗教崇拝の境界まで引き上げることである。三つ目は悪魔主義である。すなわち、官能的な邪悪な美しさに落ち込み、悪魔的な悪趣味を追い求め、無限の欲望を満たす行為である。本稿の目的は『春琴抄』から谷崎潤一郎の独特な審美観やその意義を発掘することとなっている。谷崎潤一郎の生い立ちや創作の背景をはじめ、小説の筋と言葉遣いの分析を通じて、作者の審美観を研究するつもりだ。また同時代の作家の美意識と対照研究を行いながら、彼の審美意識を弁証的に分析しようとする。最後に、作者の審美観が日本後輩の唯美派作家や海外文壇への影響をまとめてみた。よって人々に今後の審美の視角を広げるべき、生活を心から愛すべきだと提唱しようとしている。
キーワード:春琴抄 耽美主義 病的な欠陥の美 女性崇拝 悪魔主義
目次
要旨
中文摘要
はじめに-3
1谷崎潤一郎と『春琴抄』-1
1.1谷崎潤一郎の一生-1
1.2谷崎潤一郎の創作スタイル-2
1.3『春琴抄』-3
2春琴と佐助-3
2.1春琴像-3
2.2佐助像-4
2.3二人の愛情-4
3谷崎潤一郎の三つの美意識-5
3.1病的な欠陥の美-5
3.2女性に狂おしいほど極端な憧れ-3
3.3悪魔主義-6
おわりに-3
参考文献-8
謝 辞-9