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要旨:芥川龍之介は、日本大正文壇の「新思潮」派の代表である。日本文学史の上で重要な地位を占めている。彼の小説は、題材内容も芸術の構想もすべて特色である。芥川の古典取材小説は、独特な美意識と深刻な主題掲示、緻密な心理描写と高度の小説創作技巧によって、 芸術の人生に対する熱烈な追求を現した。『羅生門』はちょうどそのもっとも代表的なものである。 『羅生門』は人間に存在する「醜」と「悪」の代表する意義を深く掲示した。
キーワード:羅生門;芥川龍之介;醜悪;意識;日本文学
芥川龍之介は、日本大正文壇の「新思潮」派の代表である。「新思潮」派の人々は、感情的な実感よりも、冷静な観察によってとらえた人生の現実を、理知的に独自の解釈を加え、技巧を重視し、鮮明なテーマ小説を著すのが特色であった。彼は、日本の近代有名なレアリストであり、日本文学歴史の上で重要な地位を占めた作家の一人である。 芥川は、 創作生涯の短い12年という間に、共に小説、随筆、評論及び詩歌などの200余編の珠玉のような短篇を残し、彗星のように消えていったのである。周知のように、芥川は、「今昔物語」その他の日本古典と 「聊斎志異」 その他の中国古典に材を取った作品を多数残した。しかし、芥川のこれらの作品は、「昔」の再現を目的にしたものではなく、「物語」と「歴史」とを区別し、 「過去」の「物語」を材料にして書いたものである。すなわち、現代の文学の形式で「現実」を歴史的な背景の中において、古典を素材として古人の形象を借り今日の人の心を説明し、現実を説明し、人生を解釈し、恒久な人間性を探求したものである。そのために、ある意義から見れば、芥川の古典に材をとった作品に対しての研究は、深刻な社会現実の意義を持っていることである。 『羅生門』は芥川龍之介の準処女作と言われる。『今昔物語』を主材として、原典の素朴、簡略な説話を一編の近代小説と化したものである。それは芥川の価値観、世界観、美醜観、善悪観の研究において、重要な意義を占めている。特にその中に現れた芥川の美醜観、善悪観への研究は戦後盛んに行われてきたのである。しかし、「醜」と「悪」だけに目を投じて研究することはほとんど行われない。 したがって、 本文は 『羅生門』 を通じて、小説の中の「醜」と「悪」を目につけ、芥川龍之介の独特な構想を考察し、芥川の創作主旨を明らかにしよう。