序論

　日本は（1960年代後半）高度経済成長期に入ってきたとされている。高度成長の進展は当然労働者の状態にも大きな変化をもたらした。このことは無論男子についても指摘できることだが、ここでは女子を中心に見てみたいと思う。

　丁宏偉は（1992年　日本の女子労働供給行動に関する実証によると）女子労働力の特質として、「家計補助的性格」と「縁辺的[]労働力の性格」がよく指摘されている。　　

　しかし、時代の変化とともに、安価な若年労働力の不足を補完するものとして、また高齢化、出生率の低下が進む中で今後の労働力供給は停滞する見通しであり、その中で、女子労働力が日本経済の不可欠な要素として定着してきた。今日も女子労働力が縁辺的①存在であるかどうかは疑問である。

　以上の理由もあって、本論文では日本の女子労働力供給行動の特徴を見いだし、女子労働力が縁辺的存在であるかどうかという疑問を解決する。まず進んだ女性の地位、平等の材料を見ると、日本の社会における女性の地位はだんだん高く上がっていると分かる。また、女性労働力供給に関する実証分析を見ると、日本の社会は女性の力を必要としている。それは、まず平成10年から平成17年までの調査の結果によると、女子労働力は縁辺的存在ではないと考える。また、産業大分類別女子雇用数の推移データを取り上げ、女子労働者の増加の中では、単純労働だけでなく、多くの職種に就く女子労働者が増えたことがわかり、女性労働力が重要な役割を負っていることを明らかになった。次に女子パートタイム労働者と一般労働者の賃金格差の推移例から見て、女性労働力の賃金がだんだん増加していることがわかり、女性労働力への評価が高まっていって、重要視されていると分析する。また、女子の年齢別労働力の変化を取り上げ、日本における若年女子の労働参加によって、女子労働供給を増加させる方向へ導いたことを統計から明らかにする。また、女性の晩婚化の進行の背景には女性の社会進出があるといわれている。女性労働力の供給を増加させているのをあきらかにする。最後、日本女性の経済的自立の材料をみると、高齢化、貯蓄率の低下、医療費、社会保険料の負担、若年の労働者不足による経済の活力が失われている現状と同時に日本経済社会は、女性労働者を必要としていることが分析によって結論を得る。